見渡すかぎりの緑の楽園
植林により蘇った奇跡の森へ
市内から車で2時間、マングローブの森が果てしなく続くカンザー(Can Gio)は、ベトナム人にとっては有名な観光スポット。だけど日本ではどのガイドブックにも載っておらず、秘密&魅惑の要注目スポットなのだ。
■マングローブってなんだ?
水上にせり出した支柱根が幾重にも重なり、一度見たら決して忘れることのできない強いインパクトを与えてくれるマングローブの森。しかし、実は一口にマングローブと言ってもひとつの植物の名前ではない。満潮時は海に、干潮時には陸になる地域に育つ植物の総称で、その種類は約100種。しかもその樹木は建材や漁具に、樹液は薬に、更に魚やエビなども育む、まさに恵みの森といえるのだ。
■壊滅の危機を乗り越えて
そんなマングローブ林だが、ベトナム戦争時、ベトナム軍の絶好の隠れ家となっていたため、アメリカ軍は枯葉剤による一掃計画を決行、壊滅の危機を迎えることとなった。10年間で枯葉剤が散布された面積はベトナム全土で1732万ha(日本の国土の45%相当)。それによりカンザー地域だけでも約4万haものマングローブ林が枯れ果ててしまったのだ。しかしながら、マングローブの重要性を知っていたベトナム人たちは、なんと戦争中にもかかわらず植林を行い、南ベトナムの解放までに約8500haもの植林がなされたのである。そしてその後、ベトナム政府をはじめ、日本のNGOであるアクトマンなどの活動により、自然更新林も含め約3万haの森が再生、現在戦前の3/4が復活している。
■今だからこそ、再びカンザー
そうした人々の手による地道な植林活動により、見事に蘇ったカンザーのマングローブ群。世界各地で環境問題が叫ばれている現在、早くからその問題に取り組み、人の力により自然を蘇らせた世界でも稀な成功例、それがこのベトナムのカンザーなのである。
となれば、そんなカンザーへ、エコ・ツーリズムとして足を運んでみるのも悪くない。もちろんその他、大自然を満喫できる楽しみも大充実のこの地域。そこで、次に今のカンザーをその身で感じることのできる、スケッチおすすめの3つの楽しみ方をご紹介しよう。 |