1人の若者が
900年の陶芸の歴史に新たな息吹を吹き込んだ
900年程前にハノイ北東部に出来た窯元が、Tho Ha(トーハー), Bat Trang(バッチャン)そしてPhu Lang(フーラン)の3つと言われている。
そのうちTho Haは消え去り、Bat Trangは様々な歴史を経て今日のような大規模な陶芸の村に成長していったが、Phu Langは、900年間、赤土を主原料に薪で焼き上げる製法も、製作物(主に水瓶、骨箱など)も変えることなく、ひっそりと陶器作りを続けてきた。
ところが、この村の代々続く陶工の家に生まれた一人の若者が、この村を変えつつある。その若者の名前はVu Huu Nhungさん。1975年生まれの彼は、ハノイ工芸大学の彫刻科を99年に卒業。在学中から幾多の作品展で賞を受けている。かつては旅行者などは訪れなかったこの村に、最近はタクシーなどで乗り付ける訪問者が後をたたない。
英国大使館やSEA game(東南アジアスポーツ競技会)の特注の仕事も加わって大忙しのNhungさんだが、焼き物好きな方の訪問は大歓迎のようで、多忙な中、自ら応対してくれる。
(ベトナムスケッチ2003年5月号) |