ベトナム国立交響楽団へようこそ!
舞台の上の個性な面々
日本人指揮者の本名徹次氏がミュージックアドヴァイザーに就任して以来、めきめきと腕をあげてきたと評判のベトナム国立交響楽団。華やかなオペラハウスの舞台の上で演奏に打ち込むメンバーたちの、個性的な素顔を紹介しよう。
|
ベトナム国立交響楽団
Vietnam National Symphony Orchestra/通称VNSO |
|
|
創設は1959年だが、ベトナム戦争時に財政的・人材的に大きなダメージを受けたため、今の体制で演奏活動ができるようになったのは1984年から。団員数は現在78名。ベトナム唯一のフルタイムのプロ・オーケストラであり、ベトナム音楽界をリードする大きな存在だ。海外公演においても、音楽に対するその真摯な姿勢を評価する声が高い。 |
VNSOならではの音をまとめあげる
本名徹次/Honna Tetsuji |
|
|
|
|
|
東京芸術大学在学中より指揮を始め、世界各地の指揮コンクールで上位入賞多数。名古屋フィルハーモニー交響楽団や大阪シンフォニカー交響楽団などの常任指揮者を経て、2001年よりVNSOのミュージックアドヴァイザー兼指揮者に |
|
2000年、名古屋フィルハーモニーのアジア演奏ツアーの一環で初来越。ベトナムに一目惚れしたところへ、VNSOから現職への就任要請が。最初は戸惑うことも多かったが、音楽を愛する彼らの姿勢に打たれたという。
日本のプロのオーケストラはアンサンブルを得意とするが、ともすれば各人の個性を埋没させ、全体の味がなくなることも。逆にVNSOは個性豊かだが、アンサンブルが苦手。しかし、うまく混ざるととてつもなくいい音を出すことがあり、それが最大の魅力だ。だからその個性を消さないように気をつけているという本名さん。最近、嬉しかったのは、ある日本のオーケストラの楽団長から「彼らは私たちが忘れたものをすべて持っている。ベトナムに学びたい」と言われたこと。「わかってもらえた、自分のやり方を信じていいんだと思えました」。 |
オーケストラの要、コンサートマスター
レー・ホアン・ラン/Le Hoang Lan(ヴァイオリン)
|
|
|
|
|
|
伝統音楽を学んでいたお姉さんの知人が彼女の大きな手を見て、ヴァイオリンを始めるよう、すすめたのがきっかけに。VNSO内のユニット「ベトナムの蓮弦楽四重奏団」にも参加している |
|
「本名さんは要求が多く、厳しいので大変。でも、演奏がよくなっていることが実感できてやりがいがあります」と話す彼女は、コンサートマスターとしてメンバーと本名さんを繋ぐ重要な役割を担っている。
読書、なかでもとくに恋愛小説を読むのが好きだというランさん。女性らしい優美な演奏が持ち味である彼女のイメージにぴったりな趣味だ。 |
次のページ→
(2009年01月号 | 2009年2月4日 水曜日 16:59 JST更新) |