ベトナム北部は、知る人ぞ知る漆の産地。ベトナムの漆器は今から約2000〜2500年前、遥かドンソン(Dong Son)文化時代から、その歴史があるという。そして、そんなベトナムの漆文化の魅力を今に伝えるのが、世界の芸術家たちからも注目を集めているベトナムの漆画。知っているようで意外と知らない「ベトナムの漆画」の世界、たっぷりとご堪能あれ!
取材・文/島田むつみ
なぜなに?漆画
Q/漆画って、どんな絵?
A/漆画とは、全工程に漆を使い、1つの絵画を仕上げていく画法のこと。特徴である鮮やかな赤、黒、緑といった色自体、漆に顔料を混ぜたもの。また、卵の殻や銀箔の接着にも漆が使われる。そして何層にも漆を塗り重ね、乾かし、研ぐ(研磨する)工程を繰り返すことで、独特の質感とツヤを持つ美しい漆画となる。
Q/漆画は伝統美術なの?
A/ベトナムの漆工芸の歴史は古い。だが漆画が現在の形になったのは、フランスによる1925年のインドシナ美術学校の創立以降のこと。ここで数多くの技法が研究され、民族的な絵画に西洋絵画の潮流が加わることで、漆画は工芸の粋を超え、絵画としての表現方法を身につけた。この時代に優美な色を出す漆絵具が多く開発されたことも、漆画が花開く機運を高めたとされている。
ベトナム漆マメ知識
■ 漆の産地 べトナム北部のフートー(Phu Tho)省が漆の産地。漆の木に切り込みを入れ、貝殻を差し込んでおくと、貝殻の窪みに自然と漆が溜まり、採取できる。 ■ 日本漆との違い ベトナムの漆の木と、日本の漆の木は大きく異なる。ベトナムの木は細く、また採れる漆は粘度が高い。この粘度の高さゆえ、漆を重ねては、研いでツヤを出すという「漆画」の技法に適している。
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(2006年10月号/2006年10月12日 木曜日 9:04JST更新)
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