ローリー先生のメディカルトーク
2005年秋、鳥インフルエンザ最新情報
ベトナムで鳥インフルエンザが最初に発生したのは2003年の終わりごろ。第3回流行期である昨年11月から今年9月現在までに64名の感染(うち死亡者数は20名)が確認されています。昨年は東南アジアを中心に広がりを見せたのに対し、今年は中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、フィンランドと北方、西方への拡大傾向にあります。
ベトナムにおける第3回流行期の特徴は、感染が長期化傾向にあること。また、家禽への影響が減少する一方、人間への感染例は増加傾向にあり、今年7月に3件、8月にも3件が確認されています。南部より感染者が多い北部での死亡率は低下しており、症状の軽症化、不顕性化(感染しているが症状がでない)がみられます。また高年齢者がより多く感染しているのも今期の特徴です。ただ、ウィルスの性質に重大な変化は認められておらず、人から人への感染は確認されていません。
これに対してベトナム政府は家禽類(主に鶏、アヒル)への予防接種を行い、人間への感染を阻止する政策をとっており、世界保健機構(WHO)もこれをサポートしています。具体的には、7月22日よりナムディン省など2省で670万羽を対象に試験的接種が行われました。9月からはさらに約1億羽を対象に他46省でも実施され、むこう2年間継続して行く計画です。
■最後に鳥インフルエンザに対する留意点をあげておきます。
・手洗い、うがいの励行。
・生きた鶏、アヒル、鴨などに近づかない。家禽類との接触を避ける。特にフンには要注意。
・家禽類の生肉、生卵を食べない。
・インフルエンザワクチンの接種。
・急な発熱、筋肉、関節痛、頭痛、全身の倦怠感、乾いた咳、咽頭痛、鼻水など、普段と違う症状を感じたらすぐ受診しましょう。
ローリー・ヘイワード医師
ファミリープラクティス医院
(2005年10月31日 月曜日 8:11JST更新) |