ローリー先生のメディカルトーク
気難しい痛風
痛風は、「裕福な人がかかる病気」あるいは「美味しいものを食べ過ぎたり飲み過ぎたりする人がよく襲われる病気」と信じられている傾向があります。グルメ業界をリードするレストランのシェフに痛風持ちが多いのも事実です。
「豊かな先進国ならではの病気」という言い方もあります。ベトナムに住む日本人の患者さんを見ていますと、仕事の関係で接客が多い中高年のビジネスマンの方々が、この症状に襲われる例が圧倒的に多いように思われます。しかし、痛風はどこの国でもある症状で、ベトナムも例外ではありません。実際、経済的に裕福かどうかにかかわらず、この症状で苦しんでいる人はベトナムでも少なくありません。痛風は英語でGout (ガウト)。ベトナム語でも、発音が"G-oo-t"と変わるものの、ほぼ英語と同じ呼び方をします。
痛風にかかると、血液中の尿酸の代謝異常が起きます。すなわち、体内での尿酸の生産過剰もしくは排泄低下により、尿酸が体内に蓄積し、それが手足の指などの小関節に急性関節炎発作や痛風結節を引き起こします。特に、急性関節炎発作は活動的な中年男性に多く、飲酒、プリン体を多く含む食品(ビールや肉)のとり過ぎ、過冷、過労、ストレスなどが誘因となり発症します。放っておくと、尿路結石を引き起こし、その結果、腎機能が低下して尿毒症などにつながる恐れもありますから油断は禁物です。
肉中心の食生活から野菜や低脂肪食物へ切り替えるなど、食生活一般の見直しをはかりましょう。さらに適度な運動、体重の管理、アルコール分の調整など、ライフスタイル全般を見直す必要があります。また、一日コップ6〜8杯分の水分をかかさずとり、腎臓をきれいに保って、尿酸が体内にたまらないよう心がけることも大切です。
ローリー・ヘイワード医師
ファミリープラクティス医院
(2005年9月12日 月曜日 9:12JST更新) |