ローリー先生のメディカルトーク
食中毒と抗生物質
雨期に入り、食中毒が発生しやすい季節となりました。食中毒の原因となる細菌は、30〜37℃で最もよく増殖するといわれています。ベトナムのような熱帯性気候は、食べ物に繁殖する細菌にとっては願ってもない環境です。私たちが毎日口にする食品に容易に紛れ込むことができる細菌は、短時間で何倍にも増殖したり、他へ移ったりすることができます。知らないうちに、被害が拡大してしまうことも少なくありません。
特に、気温が高めの南部では、急性胃腸炎のような症状がよく見られます。体内に侵入したバクテリアが胃や腸の中に炎症を起こし、下痢や嘔吐の症状を引き起こすのです。当クリニックに来られた日本人の方々をみていますと、ぎりぎりまでガマンされてから駆け込んで来られる方が多いように見受けられます。食中毒といえども、時には死に至ることもありますから、軽視は禁物です。体内で細菌が増殖して重症になる前に、早めに医療機関へ行くようにしましょう。
診察に際しては、便検査、血液検査の後、必要であれば抗生物質などが処方されます。ここで大切なのは、処方された抗生物質は指示通り「飲みきる」ということ。ちょっと症状が良くなってからといって途中でやめてしまうと、体内に増殖した細菌が完全に死滅せず、症状がぶり返したり、長引いたりしてしまうのです。その結果、さらに強い抗生物質のお世話となる状況にもなりかねません。
また、下痢や嘔吐を繰り返した身体は水分が不足し、脱水症状を起こしやすい状態にあります。水分補給と適当な塩分、糖分などの補給を心がけて下さい。スポーツドリンクなどを上手に活用するのも一つの方法でしょう。
ローリー・ヘイワード医師
ファミリープラクティス医院
(2005年7月19日 火曜日 11:16JST更新) |