ローリー先生のメディカルトーク
ヘルメットをかぶりましょう。
クリニックで対処したケース中に、次のような悲惨な事例がありました。
ホーチミン市に住む外国人女性が、バイクタクシーの後ろに乗っていた時のこと。走行中にカバンをひったくられそうになり、バイクごと転倒。後頭部を歩道に強く打ちつけられ、意識不明の重体に陥りました。バンコクの病院にただちに緊急輸送されましたが、そこで息を引きとるという悲しい結果となりました。ご主人との結婚記念日2日前の惨事でした。ヘルメットは着用していませんでした。
ベトナムの路上で、バイク事故の悲惨な光景を目撃したことのある人は、結構多いのではないでしょうか。無謀な運転マナーが日常化している中、安全に生活していくためには、自分で自分の身を守らなければなりません。「暑いから」とか「ゆっくり走っているから」などとのん気なことを言っている場合ではありません。
ヘルメットの着用は「命を守る」という考えに基づいています。つまり、全身の機能をつかさどり、生命を維持する中枢機能を持つ頭部を保護することにより、生命を守るということです。頭は重いため、スピードを出していなくても確実に頭から落ちるのです。
重要なポイントは、「安全性の高いヘルメットを正しくかぶって、バイクや自転車の運転にのぞむ」こと。頭に合わないサイズや、あごや後頭部をサポートしていないヘルメットでは、着用する意味が半減してしまいます。
どんなに注意していても、遭ってしまうことがある交通事故。ご自身で運転される方はもちろん、バイクタクシーを利用される方も、ヘルメットもない無謀備な自分の身を危険にさらすことの重大さを、今一度お考えになってみてください。
ローリー・ヘイワード医師
ファミリープラクティス医院
(2005年6月19日 火曜日 11:16JST更新) |