ローリー先生のメディカルトーク
ティーンエイジャーの憂鬱
過去5年間における日本での自殺者の数は、世界でも類をみないレベルに達しています。その主だった理由として失業、ビジネスの不調、雇用機会の不足、仕事上のストレスなどがあげられ、自殺者は30代以上に集中しています。もちろん他国でも自殺はありますが、例えば広大な国土を持つオ?ストラリアでは、都会から離れた田舎で取り残されてしまったような疎外感に苦悩する若い世代が自殺に走る傾向にあり、その理由は国によってさまざまです。
ベトナムも例外ではなく、ホーチミン市の高層ビルや、ハノイの紅河に架けられたタンロン橋などから飛び降り自殺を計る若者が後を絶ちません。うつ病と自殺の関連は難しい問題ですが、特に自殺者がティーンエイジャーとなるとさらに心が痛みます。うつの症状や気分の不安定は若い時にはよく見られますが、その時期をすでに通過してしまった大人にしてみれば、青春時代はできることならもう一度味わいたいくらい素晴らしい時期で、あれこれ悩むことはない程度にしか受け止められないでしょう。しかしながら、うつの症状に苦しんでいるティーンエイジャーは過敏になっています。母国を離れて暮らすお子さんには、予想以上にストレスがかかることもあるので、精神面も健康にもご両親のサポートが必要です。
お子さんに以下の症状が現れていないか日頃からよく注意をして、この難しい時期を一緒に乗り越えていきましょう。
- 集中力が足りない
- 情緒不安定である。怒りっぽかったり、すぐ泣き出したりする
- 悲しい表情をする。頻繁に悲しいことや、悲しかった時のことを話したがる
- 楽しいと思えることがひとつも見つからない
- 食欲がなく、食べたがらない。または過食症
ローリー・ヘイワード医師
ファミリープラクティス医院(ダイアモンドプラザ裏手)
(ベトナムスケッチ2004年3月号) |