ローリー先生のメディカルトーク
寄生虫と共に生きるアジア
「おなかに虫がいた」などという会話は、アジアというお土地柄珍しいことではありません。しかしながら、夜中にトイレに行ったら虫が出てきて真っ青になり、血相を変えてクリニックに駆け込んでくる外国人は後をたちません。
外国人にとって寄生虫は、汚い気持ち悪いもので、この世に存在すべからざるものと嫌悪しがちです。しかし、おなかに虫がいる状況はベトナム人にはごく当たり前のことで、彼らはパニックに陥ることもなく、6ヶ月ごとに虫下し剤をのんで"駆除"にあたっているようです。似たようなことでは、減量のために、わざわざ寄生虫をおなかに飼っている女性が存在する国もあります。
ベトナムで一番多い寄生虫は"回虫"と呼ばれるもので、成長すると体長30cmにもなります。貧血症、倦怠感、鉄分・ビタミン不足が寄生虫による主な症状で、重いものになると子供の成長の妨げになります。そのため、6ヵ月ごとに虫下しを行うことは大人にも子供にも大切なことです。
また、人間のみならずペットの犬、ネコにも駆除をお勧めします。寄生虫の卵は、知らないうちに手から手に、あるいは汚染されている食べ物や水から体内に入り込みます。
通常、先にあげた以外にこれといった症状はありませんが、ギョウ虫が子供のおなかに生息していると、おしりの周りをかゆがる場合があります。
寄生虫の問題は、貧富の差に関係なく誰にでも起こります。虫下しのお薬はファミリープラクティス医院でもお求めになれます。
ローリー・ヘイワード医師
ファミリープラクティス医院(ダイアモンドプラザ裏手)
(ベトナムスケッチ2003年10月号) |