歯の話
頑張れお母さん!頑張れ子供達!
仕事上、日本人以外の患者さんのお口の中を拝見させて頂く機会の多い私ですが、世界中の患者さんの中で共通していることがあります。永久歯の生え揃ったお口の中で、既治療もしくは欠損の確率が一番高い歯は「第一大臼歯」(親知らずを除いて後ろから2番目)です。身近な人のお口の中をチェックしてみて下さい、大半の方が治療されていると思います。ベトナム人の方では失ってしまっている方もかなり多いでしょう。
第一大臼歯は平均、小学校入学頃に生えてくる歯で、別名6歳臼歯とも言われています。その後ろに生えてくる第2大臼歯は平均12歳頃生えるのにくらべ、非常に若い段階で生えて来ます。人生80歳になった今、この歯を、残り70年以上も守って行かなければなりません。6歳といえばまだまだ子供、しかしながら身の回りの事が自分で出来る年齢です。でも、ここが落とし穴! 歯磨きをしたと言っても磨き残しはたくさんあります。その上、生えたての歯は噛む面の溝が深く歯垢が溜まりやすいのに加え、歯質もやわらかく虫歯になりやすいのです。
ところが、なかなか世話を焼かせてくれないこの年頃、「はみがきしたのぉー?」「したよー」「じゃぁ、見せてごらん!」「やだぁー!」こんな生活の中で少しずつ歯垢は蓄積し、文字どおり歯は蝕まれてゆくのです。
お母さん、頭が痛いのは重々承知しております。でも、可愛い我が子のため! 日常生活の中で、家族が揃って行う「歯磨きタイム」を作るなどして、お子様が歯磨きを楽しめ、かつ、ご自分がチェックしやすい環境を作るよう工夫してみて下さい。子供は大人のマネをしたがるものです。先ず、大人が正しく、楽しく歯磨きをする姿を見せるようにしましょう。そして、第一大臼歯の大切さをお話してあげてくださいね。子供の歯科治療は困難なうえ、苦痛を伴い将来の歯医者嫌いにもつながってしまいます。日々のケアと定期検診で予防・早期発見・早期治療を心がけましょう。
文=歯科衛生士 小野 容子
厚誠会デンタルオフィス・サイゴン
(ベトナムスケッチ2004年4月号) |