歯の話
予防って?
医療の現場にいると「予防」と一言でいってもいろいろあるのだと実感させられます。最も身近な「予防」行為は、皆さんも日常的にされている「歯みがき」でしょう。これは当然「予防」行為に当てはまります。小さなお子さんの場合は、奥歯の咬合面にある溝を埋める「シーラント」(歯みがきが上手く出来ない場合でも、食べ物を付着しにくくする為の処置)も一般的になりつつあるようです。
これらの他には「詰め物、かぶせ物(以下、補綴物/ほてつぶつ)の交換」が、多く見受けられます。歯と補綴物との間に隙間や段差があると、そこに食べ物が入り込んでしまい、虫歯になる可能性が高くなります。また、補綴物と接している隣の歯とのコンタクト(接触)がよくないと、食べ物が挟まりやすくなるので、やはり虫歯や歯周病になる可能性が高まります。補綴物の交換と は、このような状態にある補綴物をとり換え、より良い状態へ導いてあげることです。「歯みがき」に比べれば膨大な費用と通院という手間が必要となりますが、有効な予防行為の一つであることは否めません。
しかし、「予防」の難しいところは、どの行為を行っても「100%ではない」ということです。「歯みがき」の場合で考えてみましょう。「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」を併せて使用することで予防効果は上がりますが、「絶対に大丈夫」とはなりません。つまりは、さまざまな行為を組み合わせて、確率を下げるしかないようです。
例えば日常生活では見ることの困難な口腔内。たまには、家族や気心の知れた仲間に見てもらうことも、「予防」になるのではないでしょうか?
文=歯科衛生士 小野 容子
厚誠会デンタルオフィス・サイゴン
(ベトナムスケッチ2004年1月号) |