歯の話
飛行機に乗っても大丈夫?
先日、会社員のAさんより予約のお電話をいただきました。
Aさん「上司がバリ島に出張の際、行きの飛行機の中で、もの凄い歯痛に悩まされ、現在もそれが続いている。今日の飛行機でベトナムに帰って来るのだが、何時に到着するかわからない。でも、死にそうに痛いので到着し次第、治療して欲しい」とのこと。私「痛みがあるのに飛行機に乗ってはいけません。機内で大変な事になります。まずは現地の病院で治療を受けてください。」
しかし、2時間後。Aさん「実はもう、飛行機に乗ってしまいました。」ああ・・・、かわいそうな患者さん。バリ島からベトナムまで何時間かかるのかなぁと、私はとても心配しました。
飛行機に乗ると歯痛が起こりやすく、痛み止めも効きにくいことをご存知ですか?機内では短時間の高度変化により急激圧が起こり、それによって虫歯、つめものが入っている歯、歯ぐきの膿、歯根の先の病巣などに閉じ込められていた気体が膨張し、歯の神経や歯周組織が圧迫されて痛みが生じるのです。特に歯根の 先に病巣があった時は最悪です。皮膚に囲まれている組織と違い、歯根の周りは固い骨に覆われているため、腫れあがることが出来ません。それでも病巣は膨張しようとするので、圧迫は止まらず痛みは治りません。このケースの場合、炎症だけでなく物理的な原因も含まれているため、痛み止めが効かないのが一般的です。上記の患者さんはこれに当たります。
では、どうしたらいいのか?予防策としては、やはり定期検診です。歯の病気は急性、慢性のものがありますが、急性のものは痛みを伴うことが多いので早期に発見できます。慢性のものは痛むことが稀なため、発見されにくいのです。しかし、環境の変化により、このように慢性のものが急性に変化することがあるので要注意!それを予防するためにもレントゲンを撮るなどして見えない部分の定期的なチェックをし、思いがけない歯痛からさよならしましょう。
HAVE A NICE TRIP!
文=歯科衛生士 小野 容子
厚誠会デンタルオフィス・サイゴン
(ベトナムスケッチ2003年11月号) |