歯の話
レントゲンで被爆!?
先日、当医院で虫歯治療の為にレントゲンを撮影した患者さんが、自宅に帰られた1週間後に妊娠発覚、慌てて連絡して来られました。胎児への影響が、ご心配だったようです。お腹に赤ちゃんが居なくても、レントゲン撮影する際の、あの狭い部屋や、重たい鉛のエプロンを体験すれば、誰でもナーバスになりますよね。
でも、安心して下さい。妊娠初期を含めた、全期間を通じて、歯科のレントゲン撮影は安全と考えて差し支えありません。ちなみに、胸部レントゲン撮影の線量は歯科のレントゲンの10〜20倍ですが、年間に数枚程度撮影しても健康に影響は無いとされています。
職業的被爆の安全とされている数値は、国内法では年間5mSv以下、国際防護委員会の勧告は2mSv以下に定められています。歯科で1mSvに到達するには100枚以上の撮影が必要になります。
では、どうして、あんなに重装備なのでしょう。先ず、鉛エプロン。ごめんなさい!実際にはエプロンで低減できる]線量は、多めに見て10%程度なのです。法律的にも絶対的に必要と定められている訳ではありません。鉛エプロンを使用する目的は、患者さんへの心理的な配慮が大きいのです(でも無いよりイイ!)。 個室は?ズバリ! 職業的被爆防止のためです。患者さんは年間を通して、100枚以上のレントゲンを受けても問題はありませんが、我々、医療従事者は毎日診療していますので、「塵も積れば山となる」わけです。あの頑丈な個室は、我々が受ける線量を軽減するためにあるのです。
それでも気になる被爆。そんな方はもっと安心して下さい! 当医院では、デジタル方式のレントゲン装置を採用しています。これは従来の線量の半分以下で撮影する事ができます。レントゲンは、肉眼で見えない大切な部分を見せてくれる大切な診断道具です。怖がらずに安心して撮ってもらいましょう。
文=歯科衛生士 小野 容子
厚誠会デンタルオフィス・サイゴン
(ベトナムスケッチ2003年2月号) |