<第十一回>
フエ風牛汁麺 [Bun Bo Hue]
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ホーチミン市のお店で食べたもの |
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こちらはご当地フエのもので、ブンは細い |
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「Bun=米麺ブン、Bo=牛、Hue=フエ風」。フエ風牛汁麺「ブンボーフエ/Bun Bo Hue」は、中部フエ地方を代表するブンの汁麺料理です。ご当地のフエだけでなく、ホーチミン市でも人気で、たくさんの専門店があります。私も大好きで、過去に在住したホーチミン市や研究で出向いたフエなど、多くのお店で食べたり、複数の人から習ったりしました。ですが、どれも仕上がりが少し違うのです。また、フエの伝統的なスタイルというのを食べてみたところ、これが最近のフエのものとは異なっていました。
そこで、ベトナムの伝統的な料理の書物を読んでみると…、定義としてはこの様です。
「牛骨(Xuong Bo)、牛のスネ肉(Bap Bo)、豚の骨(Xuong Lon)、豚の大腿骨や豚足(Chan Gio)を煮込んで甘味と旨味を出したスープを作る。そこにレモングラスを入れて香りを付け、フエのアミの発酵調味料マムルォックフエ(Mam Ruoc Hue)でしっかり味付け、粉唐辛子(Bot Ot)で辛味と色を付ける。牛スネ肉、青ねぎ、コリアンダー、玉ねぎをのせ、空心菜、もやし、バナナのつぼみ、バジルなどをのせて食べる。また、スープは透明に澄んでいるのが良いとされ、マムルォック(赤紫の色がすごい)は、そのまま入れると濁ってしまうため、1度水に溶いてから、ひと晩置いた上澄みだけを使う…」など。
しかし、これはあくまでもオールドスタイル。商売となると地方や時代で変化が起こります。マムルォックをそのままスープに入れたり、スープに甘味を付けるためにサトウキビやパイナップルを使ったり。色はアナトーシード(Hot Dieu)を使いより赤くしたり、トッピングの具材も牛スネ肉だけでなく、カニのすり身団子、半生の牛肉、豚足などをのせるなど、様々な形に発展していきました。
さらに米麺のブン自体もホーチミン市ではスパゲティーほど(以上)に太いのですが、フエで食べると細いものが出てきます。昔はフエも太ブンだった様ですが、細ブンの方が他の様々な料理や用途で使われる機会が多いため、ご当地でも合理的に変化して細ブンが主流となっていったのです。
外国人から見ると、「どれが本当?」と気になるところですが、実際にベトナム人が食べているものは「どれも本物」。変化しバリエーションが増えるのも、料理文化のひとつなので、日本で様々なラーメン屋の味を楽しむ様に、色々なところで食べ比べてみてください。
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