<第十回>
焼き肉団子のつけ麺 [Bun Cha]
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この肉団子のボリュームと香ばしく焼けた肉の風味が食欲をそそる |
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麺にもごはん代わりにもなるブン |
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「ブンチャー/Bun Cha」(ブン/Bun=米麺、 チャー/Cha=ミンチにした肉や魚のなどを固めた食品や練り物)は、ベトナム北部でよく食べられている麺料理です。
豚肉のミンチを小さなハンバーグの様にまとめて炭火で網焼きにした肉団子のチャーを、米麺のブン、生野菜とハーブ、青パパイヤとにんじんのなますといっしょに、魚醤のヌックマム(Nuoc Mam)や砂糖、酢から作った甘酸っぱいタレにつけて食べます。専門店だと、味付けして肉団子同様に炭火焼きにした豚のバラ肉がいっしょに添えられていたり、北部風の揚げ春巻き「ネムザン/Nem Ran」などをいっしょに食べたりもします。
さて、ここでこの料理に欠かせない米麺ブンについて触れておきましょう。米麺のブンはベトナムで最もよく食べられている麺と言えます。日本では、ベトナムの米麺と言えば「フォー/Pho」が有名ですが、ベトナムではブンの方が食べる頻度が高いのです。麺の特徴としては、フォーは粉砕した米と水から作る生地を薄く広げて蒸し、裁断して作りますが、ブンは1度加熱した生地を丸い口から押し出して茹でる押し出し麺です。
日本の素麺の様に細くて主張が少ないので、どんな食材とも良く合います。フォーの汁麺は牛や鶏ベースのスープで食べますが、ブンの汁麺は、豚、鶏、魚、蟹…と、スープのバリエーションが豊富。またブンは汁麺にかぎらず、ブンチャーの様なつけ麺、具材といっしょにタレで和えて食べる和え麺などにすることも多いのです。
さらにブンは他の食べ方もあります。肉や魚から作る料理といっしょにブンをライスペーパーで巻いて食べたり、鍋やおもてなし料理の際に白いご飯の代わりとして、ブンにおかずをのせて食べたり。とにかく食べ方が豊富なのです。
さて、ブンチャーに話を戻しましょう。ブンチャーは「ハノイのおすすめ料理」としてガイドブックなどでもよく紹介されており、旅行者が専門店に行く事も多いようですが、「食べ方がいまいちわからなかった」という声をよく耳にします。食べ方は写真の様に、チャーやバラ肉がつかったタレの中に、ブンと生野菜とハーブをつけていっしょに食べます。別碗が付くときは、そこに全ての具材を入れます。なますはタレの中にあらかじめ入っていたり、添えられていたりします。肉のボリュームや脂気が強くても、このなますといっしょに食べるとサッパリ、飽きずに食べられます。
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