フエに行ったら
「ガーデンハウス」巡りをしよう！

	▲写真左下：仕事場。Van Trai（ヴァン・チャイ）という名前がついている／写真右下：由緒を感じさせる母屋の廊下

　フエの街の美しい景観をかもし出している要素の1つに「ガーデンハウス」がある。フエでは、いつの頃からか、住人が競い合うようにして家の庭を花々で飾ってきた。そんな美しい庭を持つ家が市内には1000軒近くもあると言われており、中には、観光客に見学させてくれる手入れの行き届いた家もあるのだ。今回はそんな「ガーデンハウス」の中から、代表的なものをご紹介しよう。

■Lac Tinh Garden House
　「ガーデンハウス」の代表選手・その１は、Lac Tinh（ラック・ティン）。建物自体の古さでは、世界遺産になっているホイアンの民家には及ばないが、庭園と家屋の見事な調和、建物に施された装飾の精緻さなど、その美しさでは決して負けてはいない。

　このラック・ティンは、詩人であるHong Khang（ホン・カン）氏の邸宅として1889年に建てられたもので、総敷地面積は約2000m2。まず入り口の門をくぐるとハイビスカスやバラなど、１年中絶えることなく花の咲く庭園が迎えてくれる。住居部分はその奥で、中央に位置する東屋と、これを囲むようにして３つの棟が建てられている。中央の東屋は客人を迎えるために設けられた場所。見学者が訪れた際に、現・オーナー（右の写真）が出迎えてくれるのもここだ。その奥に控えている建物が母屋となっており、先祖を祭る祭壇などが設けられている。黒光りする柱、扉の欄間など、築100年という数字以上に風格を感じさせる建物だ。東屋の両側にある建物も見学することができる。

　一通り見るだけなら、15分もあれば終わってしまうが、その静寂の中で1時間近く、のんびり時を過ごす旅人も少なくないとか。

　住所　33 Phan Dinh Phung St.
　電話　(054) 833237

	▲▲写真上：これが母屋／写真下左：入り口の石門／写真下右：母屋の格子窓からは中庭に浮かぶ蓮の花が見える

■An Hien Garden House
　代表選手・その２は、An Hien（アン・ヒエン）。チャンティエン橋から車で15分ほど行った町外れにあり、フォン川沿いにひっそりと建っている。ラック・ティンの特徴を建築とするなら、こちらはその庭が見物。4600m2という広い敷地の中には、ジャスミンやバラなど、季節によって異なる様々な花が、あちらこちらに咲いている。庭の中央に位置する池には、ベトナムの象徴でもある蓮の花が浮かぶ。

　池の奥に位置する木造の家屋の中には、先祖代々の写真や肖像画が飾られている。見学者には、当年とって76歳と言う家長のおじいさん、Nguyen Dinh Chau（グエン・ディン・チャウ）さんが、お茶を振舞いながら、家の歴史などを語ってくれる。

　アン・ヒエンは、19世紀後半にDuc Duc（ドゥック・ドゥック）帝の18番目の皇女の邸宅として建てられた。ラック・ティンに比べると、整備はされていないが、歴史を感じさせるひなびた風情が魅力だ。

　住所　58 Nguyen Phuc Nguyen, Kim Long, Xuan Hoa, Huong Long
　電話　(054) 523647

（2004年5月28日 11:23更新）