ベトナム人経営者の気質/第16回 「義務と権利」における 考え方の違い

日本人的「義務」は高い成果

ベトナム進出の方法の1つに委託加工がありますが、ベトナム企業に委託加工を依頼する場合、気を付けて欲しい点が一つあります。 それは、日本人とベトナム人とでは、仕事に向かう姿勢や考え方が違うということです。 ベトナムでは特に「義務」と「権利」という言葉で表現される部分ですが、日本人が仕事を行う上で「義務」を意識することがあるとすれば、それは与えられた仕事の成果に対する品質や完成度までを意識するもの。そのためには、1日の勤務時間を超過してでもやり切るのが当たり前、という姿勢を「義務」と呼ぶことが多いと思います。 そうした完成度の高い、品質の向上から発生する付帯的な要素が顧客満足につながり、結果、自分自身の「権利」として主張出来る仕事になる、というのが日本人的な考え方であると思います。

ベトナム的「義務」は拘束時間

しかしながらベトナムにおける仕事上の「義務」というのは、単純に就労時間や拘束時間を指し、仕事上の完成度や品質の向上まで考えている人は少ないと感じます。 更に言えば、与えられた仕事が決められた期日までに完遂していなくても、またそれが失敗してしまったとしても、労働時間として働いた自分自身の時間という「権利」を主張する傾向が強くあるようです。 日本人からすると完成もしていない物に対して、ベトナム人が「権利」だけを主張している様に見えますが、これはあくまでも「義務」というものに対する考え方の違いから発生しているということを、十分に理解する必要性があります。 ベトナム企業に委託加工を依頼する場合など、丸投げして任せてしまうのではなく、生産管理や品質のチェックを行うクオリティコントロールだけは心を配られることをお勧め致します。
河原 光伯 かわはら みつのり 15年間会社員を務めた後、中東・ヨルダンにてJICA事業に従事。AGSホーチミン事務所で営業・労務・ビジネスマッチング担当。 Website:http://ags-vn.com
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