男のローカルひとり飯／第17 回 ブンチャー・気分チャチャ♪

街を歩いていて、豚の炭焼きの香りをかぐと、一気に気分が盛り上がり、つい入店してしまうのがブンチャーの店だ。

このブンチャー店では、予め炭焼き豚肉がヌクマムに投入されている上に、そのヌクマムが温められていてスープのようになっている。温かなヌクマムの塩分、そして柔らかなニンニクの香りと控えめな甘みが炭焼きの豚肉の旨みを助長しているし、定番の薄切り大根やニンジンの歯ごたえ及びさわやかさとも、鉄板の相性だ。

これに加えて、付け合せのモヤシ、レタス、空芯菜の茎が更なる歯ごたえを与え、シソ、キンゾイ（Kinh Gioi）、ベトナムミントが華やかさを押し広げる。ちなみに、さっくりと軽やかに揚がった蟹春巻きもわずか8000VND（約40円）で追加でき、嬉しい限り。

ここでふと、ブンチャーという料理の中で、米麺ブン（Bun）がそもそもどういう役割のものなのか考え込んでしまった。予め蒸されているため複数の麺がくっつき絡み合っているブンは、引きちぎって少量ずつタレに投入して頂く。以前は麺を引きちぎるという行為に大いに違和感を感じたものだが、その違和感は、ブンを蕎麦やラーメンのような麺 料理と同じに考えていたからで、それは実は誤った理解ではないかと気づく。

ブンはある程度の塊として口に入って来て、それを噛みこむ。実はブンは、すすって食べる麺料理というより、むしろ、ご飯に近いものではないか…。ここまで考え付いた頃には、ブンも香草も尽きていた。また来週来て考察を深めるとしますか。

本日のひとり飯： ブンチャーハノイチンヒウ Bun Cha Ha Noi Chinh Hieu 住所：98 Dien Bien Phu, Dist. 1 電話：098 906 1551 営業時間：10:00 ～ 21:00 「ブンチャー／ Bun Cha」2万8000VND（約120 円）、「揚げ春巻き／ Nem Ran」 8000VND（約40 円）

井之原 四郎 孤高のフーディーを自称するフードライター。食べ物である限り、食べられない物がないのが自慢。美味い料理を食べているときは自分だけの世界に入り込んでしまい、時には涙を流すことも。酒にも目がない。