那花正次郎さん/日越農産代表

ベトナムに日本のイチゴを広めたい ベテラン農業人から若者へ、バトンタッチされたイチゴの夢

那花 正次郎 なはな しょうじろう ベトナムの日本人大ぶりなフォルムに艶やかな赤い肌、甘さと香りの高さで知られる日本のイチゴ。それがベトナムで食べられる日は近いかもしれない。 「ベトナムで日本のイチゴを広め、農業技術でアジアに貢献したい」。それがイチゴ農家の主、大塚良夫さんの長年の夢だった。60歳を超え、家族から1年間だけとの許しを得て、2009年、ハノイ近郊の避暑地・ソンラー省モックチャウで夢へ向かう一歩を踏み出した。1年後の帰国を前に、大塚さんが後継者として白羽の矢を立てたのが那花正次郎さん。大塚さんとの出会いを、こう振り返る。 「当時、未経験であったにもかかわらず、農業で起業したいと考えていました。たまたま知人を介して知り合った大塚さんの情熱溢れる夢に、ともに賭けてみたいと思ったんです」。 大塚さんはその後も資金援助だけでなく、度々モックチャウを訪れ、指導にあたっている。 イチゴは他の作物に比べて格段に作業量が多く、技術や知識がものをいう。雑草や病害虫の駆除を頻繁に行う必要があり、栄養状態を見て肥料を毎日、調整しなければならない。それだけに、うまくいけば利益も大きく、農業従事者の間では「イチゴは儲かる」作物として知られている。那花さんは言う。 「べトナムの人びとに、手のかかる日本のイチゴを栽培したいと思わせるには、まずは本当に儲かることを見せなければなりません」。 1年目の2010年は、とりあえず栽培に取り組んだ。しかし、雨の被害で病気が発生し、成功とは程遠い結果に。翌年は地元のベトナム人の協力のもと、より栽培に適した土地400㎡を借りることに成功した。真剣な眼差しの中にも笑顔がこぼれる。 「土や水も改良し、雨避けも作って十分な収穫を得られ、翌年以降に必要なデータも揃いました。2012年は一気に1万㎡規模で栽培する予定です。現在は、昨年収穫したイチゴを持って、販路の開拓にあたっています。 イチゴは栽培時期が短く、収入を得られるのは年に1度だけ。そのため、合間に日本料理店などで需要の多いキュウリやオオバといった日本野菜の栽培も計画しています」。 市中に多く出回るイチゴに比べ、彩りも濃く大きく膨らんだ日本のイチゴ。ケースの中で誇らしげに並ぶ真っ赤なイチゴを手に、夢はさらに膨らむ。 「いずれ販売店をハノイに持ち、配達もできれば。栽培に興味を持ってくれた農家にはノウハウを積極的に伝授するつもりです。これには反対意見もありますが、モックチャウにイチゴ組合を作りたいんです。そうすれば資材や肥料購入、輸送コストも下げられますから。ソンラー省をイチゴの一大産地に育てていきたいですね」。
那花 正次郎 なはな しょうじろう 1979年、茨城県生まれ。日越農産(Rau Hoa Qua Viet Nhat)代表。大学卒業後、建設業に従事。農業で起業したいと考えていたところ、ベトナムで日本品種のイチゴ栽培に取り組む意欲のある後継者を探していた大塚良夫さんと知り合う。イチゴを栽培するため2010年5月、ソンラー(Son La)省モックチャウ(Moc Chau)へ本格移住を果たした。
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